当院の口腔外科治療の特長

• 事故や様々な外傷により折れてしまった歯の抜歯を行います。
• 事故や様々な外傷により抜けてしまった歯の再植術を行います。
• 事故や様々な外傷により元の歯の位置から脱臼し、ずれてしまったり、傾斜してしまったりした歯を正しい位置に戻す処置を行います。
• 重篤なむし歯、重篤な歯周病によりお口の中に残すことの出来ない歯の抜歯を行います。
• 重篤な歯周病の歯肉の異常な形に対して手術により歯ぐきの形をきれいに整えます。（麻酔下で電気メスによる不良肉芽除去手術・歯肉整形術など施術します。）
• 親知らずの抜歯を行います。
• 口腔がんに対して診察により発見した際、病理検査を可能な大学病院や、がんセンターへ速やかに紹介状をお書きし、適切な治療を受けられる環境を提供いたします。状況に応じて提携病院との連携治療に努めます。
• 顎関節の病気に対して専用のレントゲン撮影機器があり詳細な症状を読み取り、聴診器による顎関節音を丁寧に確認しながら、診察いたします。病状に合わせて当院で治療をしたり、手術が必要なケースでは、大学病院などの連携により、治療を行う場合があります。
• 顎・顔面の領域におこる帯状疱疹ウイルスの症状などを速やかに診察し、早急に内科医でのウイルス薬処方を患者様へお伝えします。
• 舌の下や、唇周囲の軟らかい組織に発生する小さい水疱などが起こる唾液腺の病気に対して、丁寧に診察診断し、その説明や治療に努めます。

口腔外科について

口腔外科は、口腔（口の中）、顎（あご）、顔面、ならびにその隣接組織に現れる疾患を対象とする診療科です。親知らずの抜歯をはじめ、先天性の唇顎口蓋裂（しんがくこうがいれつ）手術、顎変形症、唾液腺疾患、良性・悪性腫瘍などの外科的疾患や、口腔粘膜疾患、神経性疾患、口臭症などの内科的疾患、交通事故やスポーツなどで生じた外傷なども治療対象としています。
口腔領域には歯が原因となるものからがんまで様々な疾患が発生しますが、こうした疾患を扱う口腔外科は、お口まわりの病気のプロフェッショナルでもあります。親知らずが気になる、顎が開かない、口の中が痛い、膿がたまっているなどの異常が認められたら、お気軽にご相談ください。

口腔外科でよくみられる相談・症状

• 親知らずが気になります。（大きなむし歯ができている／斜めに傾いて生えている、横に倒れて生えている／何度も腫れを繰り返す／歯並びを乱す原因になっている／顎の関節に影響を与えている／向き合う歯ぐきを噛んでいる、粘膜を傷つけている／周囲に嚢胞がある）
• 口を開けると痛みが生じます。
• 噛んだときに歯に痛みを感じます。
• 口を大きく開けることができません。
• 口の開閉時に顎の関節から音がします。
• 頭痛や肩凝り、首筋周辺に異常が見られます。
• 耳鳴りや難聴など、耳周辺に異常があります。
• 歯が欠けたり、折れたりしており、それに伴い口の中の唇や舌に切り傷が見られます。
• 顎や顔の側面をぶつけて、口が上手く閉まりません。
• 顎や顔面を殴打して、腫れや痛みが治まりません。
• 口内炎が長引いています。
• 口の粘膜などに発生する良性および悪性腫瘍の可能性が心配です。
• 唇顎口蓋裂などの先天異常（生まれつきの病気）を病院で説明されたことがあります。
• 矯正治療だけでは治らない顎変形症について説明を受けたことがあります。
• 血液疾患や膠原病など口の中に症状を表す全身疾患で治療を受けています。
• 舌の痛み、味覚の異常や口の渇きが気になります。

日常的に起こりやすい症状でも、詳細な検査を行うことで重大な病気の早期発見につながることもよくあります。お口まわりで気になることがございましたら、何でもお気軽にご相談ください。

口腔外科の主な病気と治療

親知らずの抜歯

口腔外科での身近な外来手術に「親知らずの抜歯」があります。「親知らず」は、奥歯の一番奥に生えてくる永久歯で、「第3大臼歯（だいさんだいきゅうし）」とも呼ばれています。一般的に生えてくる時期は10代後半から20代前半ですが、まれに30～40歳頃に生えてくる場合もあります。はじめから「親知らず」がない方や上下左右の4本が揃っていない方など、個人差があります。また、まっすぐに生えてくるとは限らず、斜めに生えたり、埋まったままだったりすることもあります。
「親知らず」は、必ず抜かなければならないというものではなく、痛みがない場合や周りの歯や歯列に影響がない場合は、無理に抜く必要はありません。抜歯が必要な症状としては、「歯ぐき（歯肉）の腫れや痛みを繰り返している」「頻繁に食べ物がつまる」「手前の歯や『親知らず』がむし歯になっている」「『親知らず』が他の病気の原因になっている」などが挙げられます。
抜歯は、周囲の神経や太い血管の確認が必須となります。状況に応じて、歯科用CTで「親知らず」を立体的に把握し、神経や血管の位置を配慮しながら行います。当院ではCT撮影が行えません。大学病院や、総合病院などとの連携で行っています。提携病院でのチーム医療の抜歯依頼を行う場合がありますので了承ください。
「親知らずの抜歯」は、詳しい診察が必要となりますので、お悩みの際は気軽に受診ください。

抜歯

一般的に抜歯は、むし歯、歯周病などが重篤に進行し、歯の保存が不可能になった場合に行われます。近年の歯科医療では、可能な限り歯を残す潮流がありますが、一方で、抜歯を必要とするケースも少なくないのが現状です。歯の矯正や他の疾患の治療のために抜歯を行うこともあります。
多くは患部の部分麻酔下で行われます。持病ある方の場合、入院し全身麻酔下で行うケースもあり、状態によって抜歯方法も様々です。また、血液疾患で出血が止まりにくい症例や他臓器の疾患の影響を考慮して、抜歯を避けるというケースもあります。なお、このことに関しましては、内科医などの主治医の診察・診断のもと、指示を仰いでいただいた上で、治療を考えます。ご了承ください。
当院では親知らずだけでなく、全身疾患がある方の抜歯も万全の態勢を整えて行っています。例えば、高血圧症の方の血圧管理を行っています。血圧の上がらない成分の麻酔薬を使用し、患者様の体調配慮のもと、治療を施しています。

再植術

外傷（顔をぶつけたり、打ったりする衝撃）などで、脱臼（歯が抜け落ちること）してしまったら歯を元の位置に戻して固定する治療のことです。時に、根っこの治療行っていて根の先の病気の予後が悪く、病巣を取り、きれいにした状態で、歯を元の位置に戻して固定する場合もあります。

移植術

外傷や、むし歯、歯周病により抜歯せざるおえないことがあります。もし、仮に抜歯されます患者様のお口の中に噛み合わせに不要な歯がありましたら、その歯をお抜きした抜歯穴に移植することが可能です。もちろん、必ず生着するとはかぎりませんが、もともとご自身の体の一部なので、適合性が良く、予後が良いことが多いす。その際には、丁寧に説明いたしますので、ご検討いただけたら幸いです。

口腔粘膜疾患

口の粘膜（舌・頬・口蓋・口底・口唇・歯肉など）に、炎症や腫瘍、アレルギー症状などが出現する疾患をいいます。口腔内の粘膜は刺激を受けやすく、常在菌も多く存在しています。そのため症状が変化しやすいという特徴がありますが、「腫れ」、「えぐれ」、「変色部位」などを入念に診断し、適切な治療へとつなげています。上記に示した粘膜の中に唾液腺の開口する粘膜に起こる病気があります。唾液の出る入口が、狭くなったり、つまってしまったりすると、粘膜の下に唾液が溜まり腫れたり、違和感を感じたりします。そのような症状に対して、唾液の管の通りを良くする処置をいたします。稀につまる症状が再発します。その際には、連携大学病院での診察や精密検査、処置の為、紹介させて頂くこともあります。

口腔内腫瘍

口腔腫瘍は、大きく良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられます。良性腫瘍には顎骨という硬組織に生じる歯原性腫瘍（エナメル上皮腫、歯牙腫など）、軟組織に生じる非歯原性腫瘍（乳頭腫、線維腫、血管腫など）があります。一方、悪性腫瘍である口腔がんは、発生部位によって分類されており、舌がんや歯ぐきにできる歯肉がんが代表的です。
口腔がんの発生要因は数多くありますが、代表的なものは喫煙と飲酒です。喫煙者の口腔がんによる死亡率は、非喫煙者の約４倍といわれており、重度の飲酒もハイリスク因子と考えられています。不潔な口腔衛生状態やヒトパピローマウイルス(HPV)感染なども原因とされています。
口腔がんのできやすい場所は舌・歯茎・頬の粘膜です。中高年齢の方は、毎月セルフチェックを行い少しでも気になることがあれば、診察を受けることが大切です。
なお、診察においてお口の中に腫瘍の疑いがみられる場合は、早期に提携病院へ病理検査や精密検査などの依頼書をお書きいたします。当院では、並行して患部に対する刺激を与えないように健康的な口腔環境を整える基本治療に従事いたします。

口腔がんのセルフチェック

• 治りにくい口内炎や出血しやすい傷がある
• 口腔内に盛り上がったできものや固くなった部分がある
• 顎の下や首の脇に腫れがある
• 食べたり飲みこんだりすることがスムーズにできない

顎関節症（がくかんせつしょう）

顎の関節とその顎に付着する筋肉（咀嚼筋）の周りの病気です。「顎が思い通りに動かずに、食べ物が噛みにくい」「顎を動かすとカックン、コッキンといった不快な音がする」「痛みで口が開かない」といった症状が認められますが、顎だけでなく、片頭痛や肩こり、鼻や耳にも不快感が生じることもあります。原因としては、ストレスを含む精神的な要因、噛み合わせの異常、夜間の歯ぎしりやくいしばり、頬杖（ほうずえ）などの癖、解剖学的な問題などが考えられています。
症状は多岐にわたり、軽度から重度まで個人差が大きいという特徴がありますが、重い症状の場合、放置すると進行して顎の機能が破壊されてしまうこともまれにあります。症状があればお早めの受診をお勧めします。
なお、当院では、顎関節症の治療を承ります。症状を引き起こす原因をお伺いし、顎関節症状確認のための専用レントゲンで撮影し、聴診器による顎関節音を聞きながら、患部の症状を診査します。

顎顔面外傷（がくがんめんがいしょう）

口まわりや口内、顔面に負った外傷を顎顔面外傷といいます。歯の割れ・折れ・打撲・脱臼、口腔内粘膜の傷、顔の皮膚の傷、顎顔面骨の骨折などがあります。交通事故や転倒、打撲など原因は様々です。顎顔面外傷は機能面の問題もありますが、外見面でも問題になることがあります。負傷箇所にもよりますが、早期治療によって両面とも回復が望めますので早めの受診が大切です。当院で処置可能な対象は、外傷により脱臼(歯が抜け落ちてしまうこと)した歯をもとの位置に戻したり、ぶつけて傾斜した歯をもとの位置に戻したりする歯牙に関する治療になります。また、レントゲン撮影で全体的な写真からみられる顎骨の骨折は、当院での治療は困難であります。提携病院へ速やかにご紹介いたします。
なお、抜け落ちてしまった歯をもとに戻す治療を「再植術」と言います。また、ぶつけて、歯の位置が変化したり、傾斜してしまった歯の位置を戻す治療を「整復固定処置」と言います。

顎変形症（がくへんけいしょう）

上顎骨や下顎骨、あるいは両方の形や大きさ、位置異常によって、顔面の変形や咬合不全を起こしている状態をいいます。通常の矯正治療で対応できない顎変形症は、外科的矯正手術が検討されることがあります。治療は噛み合わせの改善に重点が置かれます。なお、顎関節のレントゲン写真で確認し診断できます。提携の大学病院での精密検査や、診察で必要な治療に配慮いたします。

唇顎口蓋裂（しんがくこうがいれつ）

口腔と顎に発生する先天性の形態異常として、日本では口唇裂（こうしんれつ）や口蓋裂（こうがいれつ）が最も多いとされています。このほかに顔の一部も裂けている斜顔裂（しゃがんれつ）や横顔裂（おうがんれつ）があり、また、舌にも色々な異常がみられ、その程度は様々です。治療は、出産直後から成人になるまで長期にわたります。口腔外科、矯正歯科、小児歯科、形成外科、耳鼻咽喉科、小児科などによる一連の総合治療が必要となります。当院での診察や診断書作成を丁寧に行います。もちろん、他科との連携が必要不可欠なので、本人様、ご家族様のご希望に合わせて、お教え頂きます他科先生との情報共有に努めたく存じます。当院で行うことのできる診療は、診察を含めた基本的な口腔ケアやむし歯治療などと心得ます。ご理解の程願います。